新潟地方裁判所 昭和40年(わ)173号 決定 1965年9月27日
被告人 M・I (昭二二・三・八生)
D・S (昭二一・一一・二生)
G・Y (昭二三・二・一〇生)
N・S (昭二二・四・一六生)
主文
本件を新潟家庭裁判所に移送する。
理由
本件公訴事実の要旨は、
「被告人ら四名は、○見○男と共謀のうえ、○井○○子(当一六年)を強姦しようと企て、昭和四〇年四月○○日午前零時三〇分ごろ、新潟県北蒲原郡○○村大字○○×××番地の被告人M・I方に同女を連れ込み、同所において同女の手を引張つたり、体を掴んだりして同女をその場に倒し、同女の手足を押えつけてその反抗を抑圧し、同女の上に乗りかかつて強いて同女を姦淫しようとしたが、同女に抵抗されたため、その目的を遂げなかつたものである。」
というにあり右事実は本件記録添付の各証拠により明らかであり、法律に照すと、被告人らの判示所為はいずれも刑法第一七九条、第一七七条前段、第六〇条に該当する。
よつて、被告人らの処分について検討するに、本件犯行の罪質、態様に照せば被告人らの刑事責任は決して軽微なものとはいい得ずこの種犯罪に対する一般予防的見地よりするもその犯罪は決して軽視し得ないところであるけれども、本件記録によると、被告人らはいずれも満一七歳から一八歳の少年であつて、本件犯行は少年にあり勝ちな精神生活の面における脆弱性が、不良交友集団の中の異常な雰囲気に誘発された結果惹起されたものであり、被告人らの反社会性はいまだ固定化するに至つてはいないことが認められ、その他被告人らはこれまで保護処分に付された前歴もなく、本件犯行を深く反省していること、被告人らの家庭も比較的堅実であつて、その保護者らもそれぞれ被告人らの将来の保護監督、善導を誓約していることまた、被害者には相当の慰藉がなされ、被害者も被告人らを宥恕していることなど諸般の情状を考慮すると、今ここに被告人らを直ちに刑事処分に処するよりもむしろ家庭裁判所において保護処分に付するのを相当と考えるので、少年法第五五条により、本件を新潟家庭裁判所に移送することとする。
よつて主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 石橋浩二 裁判官 礒辺衛 裁判官 松村利教)